クルマの未来は見えたか?ージュネーブモーターショウ私的感想

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今回は、文化ギャップに関係のない話題です。

【モノだけ見る時代は終わっている】

今年のモーターショウも華やかだった。エレガントなマセラーティ、素敵なフェラーリもいつも通り。うっとり、、。

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で、それで何?

未来が見えない。

無人運転車の展示は一社だけ。

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Navya社のオトノム・キャブの広々した車内。無人運転車の草分けだ。

今世界をときめかせているテスラも、クルマをシェアド・エコにミーに取り込んでいるウーバーも来ていない。

クルマをサービス産業に変えようとしているGoogleも日本のSBドライブも姿が見えない。

きらめく新車の並ぶショウ、そのいつも通りの華やかさの後ろで進んでいる未来への動きが見えない。

今、クルマは個人の持ち物からシェアする公共財に変わって行っている。その動きは世界の各地で進行している。

そこにないものを見たい。そこでは小さな存在でしかないものの変えて行く、未来の都市交通を見たい。

イノベーションの芽は、気付く人にしか見えない。

10年後、今あるクルマのメーカーのうち何社が残っているだろうか?

(声をひそめて)フォーミュラ・ワン カーの中でクルマに酔いました😰。ルイ・ハミルトンのテストドライブに一緒に乗るというシミュレーションがありました。あのシルバーストンのサーキットですと?

喜んでいそいそ乗り込んだまでは良し。

動き始めてビックリ!フォーミュラ・ワン カーて乗り心地悪いのなんの。カーブでは右に左にお尻がズズーーーと滑っていって、ひゃーー!

フォーミュラ・ワンはテレビで見るのが一番です!

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学びのポイント: 日々センサーを張るべし。小さな変化、密やかな萌芽は大きな変化の前触れかも知れない。

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【ここには国を問わずに優秀な能力を集め、スイス人と共存させるしくみがある】

世界でもトップクラスのスイスの有力ビジネススクール、IMD(経営開発国際研究所)は毎年「2017年世界競争力年鑑」を発表する。今年スイスは2年連続で2位だった。今年の1位は香港、日本は昨年と同じ26位だった。この調査ではスイスは常に上位5位以内にランクされる。  国土面積は九州ぐらいと小ぶりで、人口は約800万人と東京都よりも少なく、上天然資源にも乏しいスイス。その一体何が、イノベーションを可能にさせ、国際競争力のあるビジネス環境を作っているのか?政策と、教育、研究の側面から見てみた。

スイスにイノベーション政策はない!?  
「スイスのイノベーション力の秘密」(日本貿易振興機構(ジェトロ)発行、2015年7月)の共著者江藤学氏は「スイスには、イノベーション政策としてまとまった政策は存在しない。」と冒頭で述べる。スイスにはイノベーション政策どころか、産業政策さえ存在しない。つまり、スイスがイノベーション大国であるのは政策誘導の結果ではないことにまず着目したい。 スイスの産業構造の特徴は、世界レベルの大企業と、多数の中小企業とが存在することだ。だからスイスでは産業振興施策が、そのまま中小企業振興策となる。

江藤氏はスイスの中小企業振興策の力点は競争政策にあるという。小さいから保護するのではなく反対に競争に晒すことにより鍛えようというのだ。 「スイスにおける産業育成は、競争環境を整備することにより、本当に優秀な企業のみが生き残り、高付加価値製品を生み出す環境を作り出すことにある。(中略)スイスが世界各国とFTA(筆者註、自由貿易協定)を締結することは、スイス企業の市場を世界規模に広げることとなるが、同時にスイス企業を世界規模での競争環境に連れ出すことに他ならない(下線は筆者)。」 そのような国で政府の役割は人材の確保・育成にある。スイスの製品・サービスの高付加価値化を可能にするのは人だからだ。

国際的なスイスの高等教育研究機関
スイスでは外国人も取り込んだ人材育成が非常にうまく行われている。 スイス国内ではスイスの大学進学率は低い。また、大学に行くことが就職を有利にする条件とは限らない。日本の中学に相当する学校を卒業する年齢はだいたい15歳頃だが(註:スイスの教育は州の管轄なので連邦全体をまたがる共通の義務教育制度はない。そのため終了の年齢にもバラツキがある)、その時点で、子供たちは職業教育の学校に進み職業技能を身につけるか、大学進学を前提とした高校に進み、将来は研究職に進むかを選択しなければならない。たった15歳で将来を決めるのだから、これは親にも本人にもなかなか困難な選択だ。

大学に進んでも卒業するのは大変厳しい。授業について行けなくて、半数の学生が途中でコースを変更するか、または職業教育の学校に移るといわれている。

その代わり、大学を卒業した学生のうち、修士、博士などの研究課程に進む学生の比率は、OECD諸国の中で最高である。 つまり高等教育を受けるなら企業経営者など社会のリーダーに、そうでなければ、中堅の職業人となって社会を支える人材になるよう方向付けるような教育がスイスでは行われているのである。

このような社会だから、職業学校の地位は高い。

一方スイスの大学進学率は低いが、留学生比率は日本に比べると非常に高い。例えばスイスを代表する二つの高等教育研究機関、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と、連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の外国人留学生比率を見ると、学部から博士に上がるにつれ留学生の比率が高まっている。いずれの学校も学部生で20−30%、博士課程だと、70%以上が外国人である。

研究者の視点
スイスでは高等研究機関でも国籍に関係なく学際的な研究が奨励されている。

スイスがイノベーションに強い理由について、連邦立の研究機関の一つ、ポール・シェラー研究所(PSI)で生物学の研究を続ける石川尚(いしかわ たかし)さんにお話しを伺った(写真)。

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石川さん、SLS加速器の上で

PSIには、スイス・ライト・ソース(SLS)という素粒子加速器がある。SLSは、それを使った実験にもとづく研究が、科学界で最も定評のある学術雑誌である「ネイチャー」や「サイエンス」に何度も掲載されるような、世界的にも高度な研究機関である。ここにも世界中の専門家が高度な研究のためにSLSを利用しようと集まってくる。

PSIでは、ドイツ、アメリカなどいろいろな国の出身の研究者が集まっている。それぞれの背負う文化は異なるが、それは研究する上で互いにプラスとなり良いことだと、石川さんは考える。研究分野の異なる人々が共同研究を行って研究の相乗効果を高めることは研究所内で奨励されており、また電子顕微鏡などの設備を研究室の枠を越えて共用できることなど、おのおの専門分野を持ちながらも、その境界は開かれている。それが共同研究や頻繁な意見交換の機会を生み出すなど開かれた研究環境を作っている。

また、基盤技術を担う科学者の処遇が安定していることも、良い研究成果の上がる理由として大切だと石川さんは述べる。前述したSLSを例にとると、この設備は、ビームライン科学者(Beam Line Scientist)という肩書きを持つ人々が運用する。いわば、実験設備の専門家だ。個々のビームライン科学者は博士号を持つほどの専門家だが、研究者ではない。研究者ではないので、PSIでは論文の数を増やすことは求められていない。

PSIのビームライン科学者たちは、論文の数を競い、安定したポストを得るために日々心を砕かなくとも、仕事が保障されている。そのため、安心して仕事に打ち込むことができる。学会で評価される上質な研究は、このような人々が縁の下の力持ちとなって支えているのだ。

スイスには、国内の初等、中等教育で育成したスイス人に産業の中堅層を担わせ、企業経営や研究を担う人材には国籍を問わず世界中から優秀な人材を集めて教育する仕組みがある。国を問わずに優秀な能力を集め、スイス人と共存させるしくみがスイスの国際競争力を支えているのだ。

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イノベーションを産み出す仕組み、スイスの産学協働

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【あの小さいスイスがイノベーション大国?なぜ?】

スイスの国土は九州ぐらいのミニサイズ、人口も日本の16%しかない。なのに世界一のイノベーション大国。WIPOの毎年発行する「イノベーション・イノベーションインデックス」で、2010年以来ずっと一位です。

私はイノベーションの産まれる理由にとても興味があります。イノベーションは発想がカギです。科学技術だけでなく日々の暮らしにも仕事にも新鮮な視点は色々な場所で役に立つことは、皆さんもご経験しておられることと思います。

そんなわけで、私の住むスイスがなぜイノベーション世界一が6年も続くのか、どういう背景があるのか、とても興味をもって取材しています。ご一緒にスイスのイノベーション誕生の場所を訪ねませんか?

”イノベーションのメッカ、EPFLに見る産学協働” (記事の全文は、ページ右上「ダウンロード」をクリックすると読めます。)

http://www.s-ge.com/japan/invest/ja/blog/日本企業からみたepflの産学協同

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東京のスイス大使館に「スイス・グローバル・エンタプライズ」という組織があります。主な仕事は日本からスイスへの企業進出を奨励することです。

この記事はそのウェブサイトに掲載されました。

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イノベーションのメッカ、ローザンヌ連邦工科大学(EPFL) 構内にあるイノベーションパーク。セキュラブ社もここに研究部門を置いています。(写真:EPFLウェブサイトから)

 

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SNS時代のイノベーション? ー 欧州ICT社会読み説き術 (10)

フェースブック、ツイッターなどの、ソーシャルネットワーキングシステム(SNS)の利用者が、爆発的に増えている。私も遅ればせながら、2011年3月11日の東日本大震災を機に、ツイッターの効用に開眼。それ以来、ツイッターを通じて色々な人々と緩い繋がり(らしきもの)ができてきて、時々情報や意見を交換するようになった。

SNSの強みの一つは、人の繋がりの連鎖を速く、広く可能にし、自分が思いもかけなかったことを発見できることだと思う。私たち一人一人は、必ず何かを持っている。例えば、友人・知人という人脈、何かに対する意見、知識、経験など。それは資源(リソース)である。大勢の人が、ひとりひとり、そういうリソースを出し合うと、1+1を2以上の価値にすることができる。丁度ブレーンストーミングで、新たなアイデアを生み出すように。SNSはブレーンストーミングではないが、両者は、多数の人がリソースを出し合い、新しいアイデアを生み出す可能性のある仕組みという点で、似ている。

スマホが人の行く先を予告?

そんなことを考えていた折、「人の次の行く先を予告するスマホ」が開発されたというニュースが目に飛び込んできた。生み出したのは、ローザンヌ工科大学(スイス)の3人の研究グループである。それは、モバイル データ チャレンジ(Mobile Data Challenge, MDC)という研究開発のコンテストをきっかけに誕生した。

人がこのシステムを搭載したスマホを持つと、その人が次にどこに行くか、高精度で予告できるという。いろいろな目的に役立ちそうである。

広く世界にアイデアを募るノキア

そのアイデアを生み出したMDCという仕組みは、大変興味深い。MDCは、携帯電話機製造メーカとして有名なノキア社(本社ヘルシンキ、フィンランド)の、ローザンヌにある研究センター(Nokia Research Center, NRC)と、イダップ(Idap)という、人間とメディアのコンピュータ解析を専門にする研究機関(スイス)が主催している。

MDC の目的は、スマホに搭載された技術を使い、モバイル通信を人と社会に一層役立たせるシステムを生み出すことだ。ご存知の読者も多いと思うが、スマホには、全地球測位システム( Global Positioning System, GPS) ブルートゥース, 加速度センサ(accelerometer), マイクロフォンやカメラ などが組み込まれている。それらを縦横に使いこなして人の行動への理解を深める。その知識をもと人類共通の財産になるようなシステムを生みだそうという、壮大な夢のあるプログラムだ。

MDC はノキア社の R&Dの仕組みの一つである。同社は、「オープン イノベーション ネットワーク」という思想の元に、世界12箇所にNRCを置いている。 設置場所は、スイスを含む欧米先進国のほか、中国(二箇所)、インド、ケニヤなど、経済発展の目覚しい地域にもある。スタッフは500人。(出典:NRCウェブサイト)

ノキアのR&Dシステム

NRCは、ノキア社のR&Dの推進機関である。各NRCは、所在する国の理工科系学部を持つ大学と密接に提携し、R&Dを進めている。例えばスイスでは、NRCはローザンヌとチューリヒの工科大学と合同で研究開発を行なっている。つまり、オープン イノベーション ネットワークとは、ノキア社と研究機関(大学)との間でリソースを相互利用し、そこから相乗効果を生み出すしくみといえる。ノキア社が、テーマと、資金、必要な実験フィールドを提供するというのだ、これは、世界各地の若い研究者に強い動機を与えるだろう。ノキア社はこのような仕組みを通じ、次々にイノベーションを起こし、それを通じて科学の進歩、モバイル利用者の便宜に貢献し、ひいては会社の利益ともなることを目指しているかのようだ。

このような、広くアイデアとスキルを募る仕組みは、ノキア社のアプリケーション開発にも見られる。同社は「ノキア デベロッパー」という仕組みを提供している。それを通じてノキア社技術陣は、世界中のデベロッパーをサポートし、多様なアプリケーションの誕生を助けている。

ノキアの社風

なぜノキア社は、このような、仕組みを確立させたのだろうか?フィンランドは、教育程度も高く人的資源はあるものの、人口が少なく(約530万人)、国土の大半は寒冷気候に覆われている。天然資源にも恵まれていない。そういう国で成長した企業だからこそ、R&Dでも、自国に閉じず、国外に広く人材やアイデアを求め、協力し合うという考え方が身についているのではないだろうか。

また、ノキア社には、社会貢献の伝統がある。ノキア社が創業された時代には、若い人々に奨学金を出していたと聞く。

こういった仕組みから誕生したシステムやアプリケーションが、ビジネスですぐに収入になるかどうかは、別の問題かも知れない。そこから利益を上げるためには、アイデアだけでなく、コストや販売チャネルなど、他の多くの要素を考慮に入れなければならないからだ。

けれども、長い目で見ると、このようなR&Dの仕組みは、人類に貢献するのではないだろうか。R&D参加の門戸を広く開け、知恵とアイデアを大勢から集めるという目標を与えることにより、人材を育てているからだ。それはまた、りっぱな企業の社会貢献となっている。

筆者は、欧州の経済紙に、ノキア社の経営状態を懸念する論調が時折報道されていることも知っている。

が、どうしてどうして。この開けた態度は、組織の強さを示しているのではないだろうか。自分とは異質なものを取り入れる、それを受け入れて自らを変化させていくちから、それは時代の変化を生き抜く強さだ。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2012年10月号

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