同じ言葉で正反対のことを連想するって?

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【目に見えないだけで、実はよくあることです】

あなたは「世界」という言葉からどんな地図を想像しますか?
日本が真ん中にある地図ではないでしょうか?

先日ある機会にスイス人のマリアンヌさんにそういう世界地図を見せました。

Worldmap Japan 世界地図

彼女はビックリ!こんな地図は見たことがないわ!

彼女にとっての世界地図は下の写真にあるような地図なのです。これがヨーロッパでは良く見る世界地図です。日本が右端にあるのがわかりますか?

World map in Europe

「日本」「ヨーロッパ」「世界」などという言葉は易しい言葉です。誰でも知っています。でもそこから連想するイメージが日本人と真逆だとは、なかなかわからないですよね。

日本の外で暮らしているとそういうことは無数にあります。

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学びのポイント: 地図ならまだいい。同じことは国際ビジネスで頻繁に起きる。出身国の違う上司と部下、国の違う企業とそのクライアントやサプライヤーの間、などのように。大きなスケールでは、国際的な企業の買収や合併(M&)ではその失敗の大半が価値観や期待のズレにあるといわれている。文化の持つ破壊的な力を安易に見過ごすなかれ。仕事に外国と接点のある人はもちろん、グローバルの進む今の社会に生きる誰にとっても異文化理解力の向上は必修だ。

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20年かかってわかった国際社会で生きるための力とは? –欧州の経験から

 私もお人好しの日本人だった。

「なぜもっと早く昇進したいと言いに来なかったの?会社は今年は減収なので、全社的に昇進を止めているの。」

上司からそう言われた時、それは、自分がこの期に及んでもどれだけお人好しの日本人なのか、後悔と痛みを伴って分かった瞬間だった。私がヨーロッパで仕事を始めてから20年以上が経っていた。

ここで私の経歴について、少しお話ししよう。

私は生まれも育ちも日本である。日本ではNTTに約10年間勤務した。その後、1989年に経済協力開発機構(OECD)にポストを得、東京からパリに移った。当時OECDの日本人職員の大半は官庁からの出向だったが、私は公募だった。

以来四半世紀以上の間、いろいろな山坂を超えながら、私は欧州大陸で仕事をしてきた。OECDの後、多国籍企業に転職し、国際関係担当マネジャーとして世界各地で開かれる会議に出席した時期もあれば、終身雇用の無い外国のこと、失業して不安な日々を過ごしたこともあった。

振りかえると私は、仕事でも私生活でも、一個人として欧州とヨツに組んできたのだ。日本の組織の一員としてでなく。

現在日本には、国際社会で仕事をしたいと思われる方や、そのような人材を育成する方々が大勢おられる。そのような方々に、私の経験とそこから身につけてきた「グローバル力」ともいうべき力とは何かをお話しし、御参考にしていただければと思う。

写真1 モンブラン橋、ジュネーブ
モンブラン橋、ジュネーブ(撮影 筆者)

冒頭のエピソードに話しを戻そう。

この経験は、ジュネーブに本社を置く、ある多国籍企業に勤務して10年以上経った時のことである。

私は本当にお人好しだった。もともと日本を出たのは自分の意志である。それ以来、国際機関や多国籍企業で100を優に越える国籍の人々と仕事をしてきたというのに、私は芯から日本人だったのだ。「良い仕事をしていれば、きっと誰かが見ていてくれる、そういう私に報いてくれる」、私は無意識のうちにそう思っていたに違いない。それは日本人なら大半の人が思うことでもあるだろう。

頭では分かっていた。国際機関でも、その後に移った多国籍企業でも、定期的な人事異動や昇進、定期昇給などは無かった。昇進も昇給も、自分から仕掛けていかなければならない。「自分はABCの仕事を手がけ、XYZという成果を出した。だから、昇進させて欲しい、昇給すべきだ。」そのように言って、上司と話し合わなければならない。そういう議論をすることは、上司との交渉でもなければ、ましてや攻撃ではない。当たり前の話し合いなのだ。

私にはそれができなかった。昇進していく同僚たちを身近に見ていたのに、自分の昇進を自分から上司に話しに行こうという発想さえ、私にはなかった。良い仕事をしていれば、きっと昇進が向こうからやってくると思っていたのだ。

思い込みに気づく必要

日本の常識は、外国での常識ではない。頭では誰もがそう分かっている。ところが、現実にはいつのまにか、誰もが自分に染みついた価値観の通り行動してしまっている。ここに異文化社会で生きる際の落とし穴がある。

日本人だけではない。人は誰もが何らかの文化的背景、価値観を持って生きている。そのため、文化の違う社会で生きる人間はどうしても、多かれ少なかれ同様の落とし穴を経験するものだ。

ただ、日本人だからこそ充分に注意し、少なくとも自分にはそういう落とし穴があるとあらかじめ覚悟しておくことは役に立つ。日本人のモノの考え方は、世界の中でも相当にユニークだからだ。そう思っておけば、外国で、または外国人と仕事をする中で「何かおかしいな?」ということに出会ったとき、なぜ自分はそう感じるのか、一歩下がって考える余裕が生まれる。それは自分が無意識のうちに思い込んでいる常識に照らして「ヘンだな」と思わせるのか、それとも別の原因があるのか、考えるきっかけになる。その点を意識するとしないとでは、異文化社会に適応する上で、大きな違いが出てくる。

 身につけるべきグローバル力

国際社会とは、外国に行って仕事する場合だけではない。国内で仕事をしていても、上司や部下、同僚に外国人、つまり自分と文化を異にする人々が登場するようになった。日本国内にも、国際社会が育ちつつあるのだ。

そういう時代に生きる皆様には、「グローバル力」を身につけていただきたいと思う。「グローバル力」とは、国際社会で普通に起きること、国際社会で仕事を進める上で基本になっている事柄である。

1.自分の意見を持つ力

他の人に言われたことや暗黙のルールを鵜呑みにせず、自分はどう考えるのか、一度自分の中に引き取って考え直す力。

2.自分の考えを主張する力

これがサラリとできるようになったら、しめたもの。

3.相手に、率直に質問する力

日本の外には、あうんの呼吸で通じるものは何もないと思ってよい。だからこそ、わからないことを質問する権利があなたにはある。質問は他者への攻撃ではなく、「あなたの話に関心を持っている」というサイン、一種の敬意でもあるのだ。

4.違う意見を持つ人と、建設的な対話をする力

異なる意見を持つ相手の、意見と人格とを混同せず、意見は意見として聴くこと。そうして、自分の意見も勘案し、課題のより良い解法を提案する力。

5.人を個人として見る力

国際社会では、自分の想像を絶するような意見の持ち主、文化的背景の持ち主に大勢出会う。そういう人々と建設的に仕事を進めるためには、相手を個人として捉えるよう心がけることが大事だ。相手に国籍、性別、宗教などのレッテルを貼ると、相手の意見を汲み取り損ねて、自分が損をする。

上記に挙げた「グローバル力」は、練習によってかなりの程度身につけることができる。また、日本国内でも実行できるものが多い。

「グローバル力」を身につけるためには、他流試合を繰り返すことだ。例えば、自主的に社外の人々との勉強会に行くなどである。その際、どんな集まりでも、最低3人の知らない人と話をすることをマイルールにすると良い。

小さな成功を積み重ねて行こう。それはきっと、国際ビジネスに生きる。

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新しいことを実行に移すとき、失敗はつきものだ。何かにチャレンジした結果の失敗を喜ぼう。失敗は学びの資源だからだ。そういう楽観性もまた、国際社会を生きる力だ。その力を育てるのは、未体験ゾーンに飛び込む勇気と、それを楽しむ好奇心だ。私はそのようなマインドセットをもつ日本人が増えることを期待している。

 

この原稿は、「PLAZA グローバル経営」、グローバル経営 2016年4月号、PP28-29、に掲載されたものを、編集部のご許可を得てこちらに転載しています。

掲載稿はこちら→ 2016_04_PLAZA

電話は過去のメディアと思うなかれ ー 欧州ICT社会読み説き術 (17)

最近の新聞報道によると、パソコンの売り上げが低下する一方で、スマホやタブレットの急成長が著しいという。遂にパソコンがメディアの王座を他に譲る日が来たか。一方で、メディアを取り上げるニュースに、電話はパタリと登場しなくなった。通話する機能しか持たない電話は、過去のメディアになってしまったのだろうか? ところがどうして、私たちは、電話さえもまだ充分に使いこなしていないかもしれない。欧州に暮らしていると、そんなことを、ふと考えることがある。

想定される国際ビジネス像

欧州では、多種の言語、多数の国が隣り合って存在し、人がそのような文化や政治の境目を超えて頻繁に往来するのが日常だ。そういう土地に暮らすと、電話というメディア(=技術)と、それをツールとして使うビジネス(=社会)との間には、まだギャップがあることに、時折気づかされる。そのギャップは、複雑な欧州社会のあり方と、密接に関わっている。

先週、こんなことがあった。

私はコンサルタントとして活動する一方、K社としようで勤務している。K社は外国出張が多く、社員は出張の際にF航空会社をよく利用する。そこで、K社は、F社の企業向けポイントカード、「蒼天ビジネスクラブ」の会員になった。これは、個人向けのマイレージバンクとは別物で、K社全体として、F社を利用する度にポイントがたまる仕組みだ。

私は、(削除あり)フライトデータの入力方法がよく分からなかったので、F社の蒼天ビジネスクラブの担当者に電話で尋ねようと思った。メールよりも、電話の方が速くて正確だと思ったのだ。

ところが、F社のスイス向けウェブサイトには、蒼天ビジネスクラブの入会案内はあっても、問い合わせ電話番号は載っていない。メールアドレスもない。仕方なく、F社の一般的な受付番号に電話してみた。

さすがは、国際航空大手のF社、スイス向け顧客の受付番号でも、独・仏・伊・英語の四ヵ国語から選択できる。多くの企業では、スイス国内向けの電話受付では、大抵は独・仏語はあっても、英・伊語の対応をしない。だから私は、F社の国際センスに感心した。スイスの顧客からの電話だからといって、独・仏語を話す人だけがかけてくるとは限らないのが、国際ビジネスの現実だ。F社は、そこが分かっていると思ったのである。

電話を取ってくれた担当の女性は、滑らかな英語を話す。これも大陸ヨーロッパでは、そうあることではない。

だが、感心したのも、そこまで。多様な言語を持つ人々が国を超えてビジネスを動かす欧州社会と、F社の想定する国際ビジネス像との狭間に自分が落ち込んだことを知るのに、大して時間はかからなかった。それはまるで、アルプスの氷河に口を開けるクレバスのように、底がなかった。

写真 スイスの公衆電話内の緊急電話番号表示。警察、消防などの番号の説明を、独・仏・伊・英語の四通の言語で表示している。
欧州ICT社会 第十七回 写真

言語の壁

電話受付担当の女性は、スイスには、蒼天ビジネスクラブの問い合わせ(削除あり)電話番号がないと言う。では、と、私は、英語圏かフランス語圏の国で、問い合わせ番号を設けている国はないか尋ねた。そこで言語の壁にぶつかった。彼女が手元のコンピュータで見られるのは、ドイツとオーストリアの番号だけだと言うのだ。私は、ここに、“スイス=ドイツ語”、という、F社データベース設計者の思い込みを感じて、内心ムッとする。しかし、彼女に怒っても仕方ない。

彼女は、私はドイツに国際電話をするほかないけれど、そこでは英語での問い合わせに対応する、と教えてくれた。だが、私は、そうはうまくはいかないだろうと、疑う。

実は、以前、決済サイト、ペイパルを利用した際、ドイツの問い合わせ番号にやむなく国際電話をかけたことがある。ところが、顧客受付電話からは、英語で「こちら(のコンピュータ)では、スイスのお客様の情報は見られません」との回答が…。こんな苦い経験があるのだ。

でも、今回はちょっと違った。私が困っていると、その女性は親切にも、F社本社が所在するフランス用のウェブサイトを見てくれた。そして、フランス国内用の蒼天ビジネスクラブ受付電話番号を探し出したではないか。フランス語なら、私も少々ややこしいことを問い合わせられる。

できる限りのことをしてくれた彼女に、お礼を言って電話を切ろうとして、ふと聞いてみた。「ドイツ語国の電話番号しか見られないということは、あなたは、ドイツにいらっしゃるのですか?」。

「いいえ、チェコです」。

これは、コールセンターの国際アウトソーシングだった。人件費の低いインドなどの外国に、コールセンターを設置する先進国企業のあることを、私も知識として知ってはいた。でもまあ、自分が今、そのお世話になっていたとは。

顧客と企業を繋ぐ重要ツール

電話は、過去のメディアと思うなかれ。コールセンターは顧客と会社を直接繋ぐ重要なビジネスツールだ。

欧州では、多様な言語と国家をまたがる人の移動はビジネスの一部になっている。そういう社会でコールセンターを充分に使いこなすには、そこでのビジネスの現実をよく知っていなければならない。スイスからの電話は、すべて「ドイツ語人」からだ、などという単純な仮定はナンセンスだ。

人と、社会と、技術との間には常にギャップがある。そこを補い、技術を改善し育てていくのが人だと思う。幸い私の場合は、チェコのコールセンターの人が、英・仏・独語の狭間に開いたクレバスに落ちかかった私を救ってくれた。これは、ひとえに彼女の気働きのおかげだ。

このような経験を沢山積んで、欧州のコールセンターはその社会により適したシステムに育っていくだろう。現在、アジアでもビジネスの国際展開が進んでいる。アジアにもまた、多くの言語と国家がある。こういう欧州の経験は、アジアのコールセンターにもきっと役立つに違いない。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2013年6月号

掲載稿はこちら→ 2013_あけぼの_ICT_第十七回