国際会議一年生の教科書(2)発言は出だしが大事

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【これだけは身につけて、きっと役立ちます】

ぴーちゃん、この前は、私は発言する前にまず手元にメモを作り、要旨を書き出してから手を挙げる習慣を身につけたという話をしたよね。

私は20年ぐらいの間、国際機関、NGOなどでいろんな国際会議の経験を積んで来た。けれども、準備が大事だということは今も変わらないのよ。

きょうは発言のしかたについて話そうか。

発言のコツやはなしのまとめ方は、ひとりひとりの個性や経験により様々なもの。私がこれから話すことは、ひとつの例として聞いてね。

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発言は出だしが大事です。

出席者が10人に満たないような小規模の会議ならともかく、会議の規模が大きくなるほど、発言者の伝えたい細かなニュアンスは伝わらなくなるものです。日本語のコミュニケーションは、相手の気持ちを思いやる細やかなニュアンスに満ちているますが、国際会議の大きな会議場では残念ながら、それは伝わらないと思って下さい。

そもそもあなたの発言を聴く相手があなたと同じ文化を共有していないのです。言いたいことをハッキリ言わなくてもわかってくれる人は、ここには誰もいません。

その上英語は会議に出ている大多数の人にとって自分の母語ではないのです。

一度や二度の発言で細かいニュアンスまでわかって貰うことは諦めましょう。

国際会議を見ていると、言葉は平易で、発言内容の論理構成は単純な方が、発言の主旨は良く伝わることがわかります。英語を使い慣れていない人々にも分かり易い語彙で話す、発言の論理は、聴き手にフォローしやすく組み立てる、この二つを心がけると大勢の人々にあなたの意志が伝わりますね。

伝わることは、理解の第一歩です。

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国際会議開場の一コマ (世界電気通信連合, ITU、ジュネーブ)

ではどうやって?

発言を聴く相手の心構えを、最初に作ることです。例えば発言を始めるときに、よくこういう言い方をします;

「私は、○○について、三つの点を申しあげたいと思います。」

その応用形としてこういう言い方もできます;

「私は、○○について、一つの質問と、一つの意見(Observation)があります。」

つまり、このようなやり方で、聴き手に私のメッセージをフォローする道筋を作る、言い換えると、あなたの発言を聴く枠組みを最初に提供するのです。

もう一つ大事なことがあります。

ゆっくり話しましょう。

私は子どもの頃から早口でした。母には、「もっとゆっくり話しなさい」とよく言われました。こういうことは、自分では意識していないので、どうも困ります。けれども、会議の時は、早口は相手に理解されない結果を招くので、結局はあなたの損。ゆっくり話すことを心がけましょう。

国際会議の場では、誰でも緊張します。そこに英語の苦手感が加わると、人は早口になってしまいがちです。

どうぞ、リラックスして下さい。ゆっくり話して恥ずかしいことは何も無いのです。それどころか、あなたの発言が聴き易くなり、英語の苦手な多くの出席者には感謝されるでしょう

発言するのは、他の人に自分の意見を分かってもらうためです。賛成反対は、分かってもらった後のことです。

もう一度言います、発言は出だしが大事です。

発言の出だしを工夫すると、あなたの言いたいことが分かって貰えるようになります。すると、会議が面白くなります。

掲載: ITU ジャーナル Vol. 43, No. 5, 2013年5月

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コミュニティー・マネジャー?ー 欧州ICT社会読み説き術 (16)

ソーシャル ・ネットワークの時代

日本の選挙運動もソーシャル ・ネットワーク時代に入ったようだ。今年四月に『公職選挙法』が改正され、七月の参院選から、選挙運動にインターネットが使えるようになると聞く。私のように外国に住む有権者にとって、これは朗報だ。次回の選挙からは、政党や、立候補者のホームページを見て、誰に投票するか決めることができるからだ。今までそういう手段が全くなかったので、在外邦人選挙では、まるで眼を閉じて投票する気分だった。法改正で、ツイッターやフェイスブックといったソーシャル・メディアを使って演説の案内や投票の呼びかけもできるようになる。

これを契機に、ソーシャル・メディアを通じたコミュニティ・マネジメントの重要性が、日本でも飛躍的に高まるかもしれない。ソーシャル・メディアは双方向であるという点で、政党が今まで選挙運動で多用していた一方通行のメディアとは大きく異なる。そこに、コミュニティ・マネジメントの重要性が生まれる。

欧州でも、コミュニティ・マネジメントを行なう「コミュニティー・マネジャー」は、成長著しい職種である。この仕事は、初めはIT企業やウェブ関連企業で導入されたが、今では、一般的な企業も導入。例えば、スイスでは、銀行や時計メーカーの中に、このポストを設けている企業があるし、大手のNGO(非政府機関)、例えば国際オリンピック委員会(IOC)も、そのような職種を置いている。

企業・団体の窓口的存在

コミュニティー・マネジャーの職務は大まかに言うと、企業ならばその商品、サービスやブランド、また、社会的目的を持って設立された団体なら、その目的(例えば自然環境の保護。政党もその一つ)に関心を持つ人の集まる集団(コミュニティー)とのコミュニケーションの窓口となり、そのコミュニティーを発展させ、さらにコミュニティーからのフィードバックを企業や団体の発展に必要な情報(リソース)として、内部に伝達することにある。

コミュニティー・マネジャーの活動は大きく四つに分けられる。この場合、企業なら潜在・顕在の顧客、団体なら、その目的を支持する人々に、①情報交流の場を作ること(顧客・支持者の参加を呼びかける)、例:ツイッターのフォロー、フェースブックのグループページ②ファンを増やすこと(ロイヤルティ育成)③その人々が企業・団体に何を期待しているか、何を必要としているかを対話の中から汲み上げ(顧客・支持者の声の収集)、企業のマーケティング、商品開発部門や、団体のリーダーたちにフィードバックし、将来の商品や、サービス、活動の発展、改善、に結び付けること、そして、④顧客や支持者に、その意見や要望が役立てられ、改善されたことを責任を持って伝えること、こうして顧客・支持者からの信頼を育て、強めること、である。

このような任務を遂行するためには、コミュニケーション専門家としての充分な経験と訓練が必要だ。

コミュニティー・マネジャーには、人(顧客や支持者)の声の奥にある気持ちを汲み取る力、企業や団体の商品・目的を理解し、愛情を持ち、自分の所属する団体の代表者であると同時に、顧客を理解しその味方でもあること、その上、自社、団体の発信する情報を受け手が快く理解できるように伝える(話す、書くなど)力が必要である。この仕事にとって、ソーシャル・メディアは、コミュニケーション手段の一つであって、それ自体は目的ではないことにも注意したい。

SNSが双方向性を加速

コミュニティー・マネジャーの担う仕事は、企業なら、広報部やお客様サービス担当部門が従来から担当して来た。

ところが、ソーシャル・メディアの時代になって、コミュニティー・マネジメントの性格は一変した。 フェースブックや、ツイッターなどに代表されるSNSの爆発的な発展により、人々の情報発信力が飛躍的に大きくなったからだ。企業・団体と個人との情報の流れの方向が、 企業・団体 からの一方通行から、双方向になったのだ。

ソーシャル・メディアでは、一人が何かを発言する(情報発信)と、その声は、その人と繋がる大勢の人々(数人から数万人規模)に一度に伝わる。

伝わった側の人々は、その同じ情報を、さらに自分の友人・知人の輪に拡げることができる。その情報が、あなたの扱う商品についてだと想像してみてほしい。一つの発言の波及力は測り知れないことが、容易に想像できるだろう。しかも、そういう情報伝達は、企業や団体があずかり知らないところで起きているかも知れない。これも従来のメディアにはなかったことである。

それなら、私たちは、SNSを敬遠せず、むしろ積極的に使って、顧客やファンに知らせたい情報を広めればいい!SNSを、ファンを増やし、繋がりを深めるために使えば良い―そう考えた企業、団体では、コミュニティー・マネジメントは急速に重要さを増し、コミュニティー・マネジャーという名を戴く職種が育ったのだ。

ただ、その育ち方を見ると、社会の仕組みや文化の違いがここでも影響を与えている。

国際化に多言語への対応は必要

ご存知のようにスイスは主に独仏伊語が併存する多言語国家だ。そういう社会では、ソーシャル・メディアという、技術的には同じプラットフォームを使っても、言語圏によりコミュニティーは分かれていると識者は指摘する。言語が違えば、考え方もコミュニケーションのありかたも違ってくる。そのため、スイス全体で活動する企業や団体には、それぞれの言語に対応したコミュニティー・マネジメントが必要になっているというのだ。

その点、日本は原則的に、言語が日本語だけなので、全国的な規模のコミュニティーを作ることができる。

だがここで、日本でも、スイスほどの規模ではないにせよ、言語の多様化が進行している現状に注目したい。例えば、「日本語人」でない人は数多く居住しているし、職場への進出も進んでいる。異なる言語を持つ人々と共に生きる社会で、コミュニティーを形成し、コミュニケーションを図る必要性は増える一方だ。日本の場合は、スイスのような明確な言語圏を国内に形成することはないと思うが、多様な言語を持つ社会の必要性に応えるコミュニティー・マネジメントを、今から意識して育てる必要があるのではないだろうか。それもまた、日本の国際化のプロセスと捉えたい。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2013年5月号

掲載稿はこちら→ 2013_あけぼの_ICT_第十六回

国際会議一年生の教科書(1)国際会議に慣れる三段階

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【国際会議に慣れる道筋?はい、あります】

ぴーちゃん、あれから英語の勉強は進んでる?

勉強を続けてジュネーブの国際会議にも来てね。

今日は私がどうやって国際会議に慣れていったか、お話ししましょう。まず、物事には何でも段階を踏んで慣れていくというお話しから。

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私の最初の国際会議は1985年に遡ります。NTTに勤務していた頃、日本代表団の一人として世界電気通信連合 電気通信標準化部門 (ITU-T) 第二研究部会 (SGII) という、通信技術やサービスの標準化を検討し勧告を作成する会議に出席しました。

それから幾星霜。あの頃は自分が将来ジュネーブに住むことになるなんて思っても見ませんでした。

 

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ITU会議場にて。日本代表団のKさん(右)と筆者(左)、2017年

国際会議に慣れる三段階

私がITUの会議出席のため年に二回東京からジュネーブに行くようになった頃のことです。

ある通信業界の新聞のコラムで、「国際会議参加者には発展三段階がある」という説を読んで、大変納得したことがあります。

第一段階は、必死で議論についていくだけで精一杯の時期

第二段階になると、自分の意見を言えるようになる。

更に会議に慣れると、自分の意見だけでなく、会議の進行全体に貢献するような発言ができるようになる。これが第三段階。

自分の経験に照らしても、これは言い得て妙だと思います。

1985年3月、初めてITUの会議場に着いた日、今まさに始まろうとしている未知の経験への期待と興味で私は胸がいっぱいでした。国際会議場ロビーに整然と並ぶ何百もの郵便箱(ピジョンホール、“鳩の巣”と呼ぶのだと、会議の先輩から教えられました。会議で使われる膨大な量の文書を参加者に配布するために個人に割り当てられます。)に感心し、会議場の広さに圧倒されました。

会議が始まると、私は会議特有の用語には不慣れ、周りの参加者の誰も知らず、ひたすら必死でノートをとるだけで精一杯でした。その頃の私の目には、自分しか見えていませんでした。

出席回数を重ね、徐々に会議に慣れてくると、自分の担当している課題に関しては、議論の内容や流れが段々わかるようになります。そうすると、「ここでは○○を言わなくちゃ」という機会も出てきて、私も少しづつ発言するようになりました。

また、自分の発言できる会議の規模も変化してきました。初めは、テーマを良く理解でき、その上少人数の課題別専門家会合(ワーキンググループ)で、しばらくしてから、三桁の人数が集まる全体会合で、というように。

たとえ一回の短い発言でも、十分に内容を考え、手元に英語のメモを作り、と、しっかり準備をしてから手を挙げる習慣ができてきたのもその頃です。後に慣れてくると、準備がだんだん簡単になり、臨機応変に近づいていきました。

幸い英語で話すことには抵抗がなかったためもあり、第二段階の入り口には、3回目ぐらいの会議で行き着いたと思います。それでも発言が終わった途端、自分の言ったことは皆に通じただろうか、言いたいことをすべて整然と言えただろうか、などと不安でした。

第三段階まで行くには、少し飛躍する必要がありました。会議の進行に貢献する、議事が円滑に進むような提案ができるためには、一段高い目線を持って会議全体を見渡していなければならないし、また、その会議の持つ空気にも充分慣れている必要があるからです。

これは、単に会議場の空気に慣れるだけではできることではありません。議論の内容の理解はもちろん重要ですが、それだけでなく、会議の常連参加者と馴染みができ、ある程度の信頼関係ができていること、また、会議のプロトコルというか、会議に特有の手順もある程度分かっていないと、なかなかこういう発言をする度胸はできないものです。

私も含め日本人は、学校時代から社会人になるまで議論によるコミュニケーションの練習を充分に積んできているとは言えません。欧米の人々を見ていると一層強くそう思えます。そのため、会議に充分に慣れていないと、会議全体を見渡した上での発言はなかなかしにくいのではないでしょうか。本当はそこまで大きく考えず、会議が滞りなく進んで行くような発言をすればいいのですが。いざとなるとなかなかできないものです。

けれども、その心の壁を乗り越えてこの段階まで来ると、自分が国際会議を進めるために出席する他の人々と一緒に仕事をしているという実感が湧いてきて、楽しくなります。

国際会議もまた、「習うより慣れよ」ではないかと思います。いろいろな場所で経験を積むにつれ、発言にも多様なニュアンスを使い分けられるようになっていきます。これはもう、「慣れ」の功績です。そのためにも、同じ会議に参加する他の人々と、休憩時間などを利用して、他愛ない話であれ何であれ、話しをして、互いに知り合っておくことは、自分の心の緊張を和らげるために、大変役に立ちました。そのことについては、また後日、稿を改めて書くことにしましょう。

掲載: ITU ジャーナル Vol. 43, No. 4, 2013年4月

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これは便利!高級時計の情報サイト ー 欧州ICT社会読み説き術 (15)

前回紹介したセルシウス社の、携帯電話機と機械式時計が一体になった製品を、情報化社会へのハードウエアからのアプローチと読み解くとしたら、ウォッチオニスタ・ドット・コム(watchonista.com)社(以下、W社)は、情報からのアプローチを見せてくれた。

W社は時計メーカーではない。情報アグリゲータ(情報集合サイト)として、ブランド、メディア、時計コレクター、時計専門店など、時計を取り巻く様々な集団(コミュニティー)を繋ぎ、そのコミュニティー相互の情報交換の橋渡しをビジネスとする。

W社創設者の二人、フリードマン氏とガベラ氏は、どちらも時計コレクターであり、時計ジャーナリストでもある。常に時計について様々な情報を探し、多様な時計コミュニティーの人々に会っている二人の、「こんなサイトがあればいいなあ」という思いを形にしたという。

高級時計は、ブランドごとにウェブサイトがあるが、今までそれらが一堂に会するウェブサイトは無かった。ブランドをまたがって情報収集するためには、そして時計愛好家はたいていそうしているのだが、個々別々のブランドのサイトを調べるほか無かった。しかし、愛好家やジャーナリストは、ブランドや製品の動きに敏感な人々である。時計に関する最新情報をいち早く知りたい。有識者の意見も知りたい。そういう人々にとっては、数多いブランドを横並びにして一度に見られる情報サイトが待たれていると、二人は考えた。

 Watchnista ポータル

彼らはまた、時計に関する具体的な情報も愛好家に提供したいと思った。

高級時計メーカーのサイトは、消費者にイメージをアピールすることに主眼が置かれたものが多い。グラフィックに凝った美しいサイトが多い反面、メーカーのポリシーや、個々の製品についての具体的な記述が非常に少ない。けれども、ジャーナリストや愛好家にとってはそれでは物足りない。

ブランドなど製造に携わる人々の時計にかけるパッション(情熱)には素晴らしいものがあるのに、ブランドのウェブサイトがそういう作り手の気持ちを充分に伝え切れていないことも、残念に思った。イメージよりも、そういうことを知りたい人々が大勢いることを、彼らは経験から知っていた。

ウォッチオニスタ・ドット・コムは時計メーカーに対しては会員制を取る。メーカーはW社に情報を提供する。こうして、メーカーは、時計専門メディア、高級時計コレクターなど、時計を取り巻く様々な人々とウェブサイトを通じて繋がることが出来る。

メディアと愛好家にとっては、ウォッチオニスタ・ドット・コムは、ワンストップ情報閲覧サイトであり、時計好きが情報交換するブログであり、またオンラインショッピングもできる。

このような、高級機械式時計に特化したウェブサイトが可能になる背景には、スイス時計産業の膨大な厚みがある。スイスには高級時計に専門のジャーナリスト、ライター、写真家が大勢おり、そういった人々が活躍する雑誌が多数あるのだ。そして、購買層として、世界中にコレクターがいる。

二人は起業までに3年かけたという。もともと高級時計についての人脈、知識の豊富な人たちが、それを資源に立ち上げたビジネスだが、それでも、起業までのエネルギーは半端ではないはずだ。何度も試行を繰り返し、失敗から学んできたという。

W社の事業には革命的な意義があると思う。ウェブを活用した横断的情報提供により、時計メーカー相互の情報の壁を越えようとしているからだ。

時計メーカーの哲学、個々の製品のコンセプトや仕様など、具体的な情報を提供すること自体、販売促進をイメージ情報に頼ってきた時計業界の中では斬新な発想である。時計愛好家やメディアは、このサイトから、今まで個々のブランドやメーカーごとのサイトでは得られなかった知識を得ることが出来るようになるだろう。それが、時計愛好家を引きつけ、ひいてはウェブをフォーラムとしたコミュニティーを作り上げていくだろう。

現にW社は、時計愛好者コミュニティーを作るために、フェースブック、ツイッターなどのSNSを活用している。それがまた、ウェブサイトの付加価値を高め、メーカーが情報を提供するメリットを高めることになる。

フリードマン氏は、将来は、このサイトに集まる情報を資源に、時計メーカーにディジタル戦略を提案していきたいと語った。伝統あるスイス時計産業界にあっても、情報の流れの変化が起きつつある。

スイスの時計産業は、機械の精密さを身上とする、いわば究極のハードウェアの世界である。それが、情報技術の大衆化と、インターネットを基盤にした情報流通の爆発的な増大という環境変化の中で、ハードとソフト(情報)との二通りの対応を見せているところが興味深い。

機械時計の心臓である精密な技術は、これからも受け継がれ、磨きをかけられていくことだろう。その過程で、セルシウス社の製品に見られるように、情報を扱うツール(機械)と合体させた製品も、姿を変えて登場するにちがいない。それは、ICT機器を、機械技術のセンスで扱うという方向である。

一方、情報をテコにしたW社のビジネスに見られるように、時計にまつわる情報がメーカーの壁を越えて流布し始めたことは、変化への萌芽として注目に値しよう。ますます便利になるICTに後押しされ、時計に関する多様な情報がそのコミュニティーに集う人々の間を、縦横無尽に行き交うようになる。このような動きは、高級時計メーカーの顧客への情報提供のあり方、ひいては販売戦略に根本的な変化を促すかもしれない。

1970年代のこと、スイスの機械時計産業は、安価なアジア産クオーツ時計に壊滅的な打撃を被った。そこから経営刷新、新たな購買層に向けたスウォッチ(Swatch)のような新製品の開発、機械式高級時計としての付加価値に磨きをかけて、立ち直った歴史がある。

現代の情報化社会の流れの中にあっても、スイスの時計産業界はそれを取り入れ、利用して、変化を遂げていくだろう。

他方、ICT産業界にとっても、スイスの時計産業の行き方に注目すべき点があるのではないだろうか。

それは、基本に忠実、ということである。スマホもタブレットも、日々高機能化し、新たなアプリが開発され、機器のデザインも多様化の一途を辿る。そういう高速の変化があたりまえになっている。技術の恩恵が、幅広い層の人々に行き渡り、利用者にとって便利なものが増えることは、社会にとって良いことだ。けれども、その反面、情報機器を使い捨てにする、または、そうせざるを得ない習慣が、利用者の身につき始めているのも事実ではないだろうか。

数世紀を超えて生き続ける、小さな文字盤の背後に整然と詰まった無数の部品の、芸術品のような姿を目にするとき、1年で古くなるスマホは、モノ作りをする人が使う人に届けるモノとして、それでいいのかと筆者はつい考え込むのだ。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2013年4月号

掲載原稿はこちら→ 2013_あけぼの_ICT_第十五回

高級時計メーカーの携帯電話って?ー 欧州ICT社会読み説き術 (14)

スイスの時計産業

スイスの時計産業は、17世紀頃にジュラ地方で起きた家内制精密機械工業に端を発し、現在に至るまでスイスの主要産業の座を占めてきた。過去何十年もの間、スイスの時計生産量は、世界中で生産される時計の総数のほぼ半分を占めていたほどである。近年の世界的な不況にも拘わらず、スイスからの時計輸出額は過去2年間で32%増加、2011年だけでも輸出額は193億スイスフラン(約2兆円)にのぼる(資料:スイス時計協会)。

ジュネーブはスイス時計産業最大のビジネスの場だ。毎年1月に開かれる、国際高級時計見本市 (SIHH)はその象徴である。SIHHはジュネーブ空港に近い見本市会場で行なわれる大規模なもので、世界中からバイヤーなど時計関係者が集まる。時計に興味のある人なら誰もが知るような、ロレックスやオメガなどの有名ブランドがズラリと出展し、集まる人々は商談に励み、また今年の流行の行方に目を光らせるという。入場は関係者のみの招待制だ。

SIHHと同じ時期に、ジュネーブではもう一つの時計見本市、ジュネーブ タイム エグジビション(GTE)が開かれる。こちらは、SIHHよりも遥かに小規模で、また誰でも入場できる、開かれた展示会だ。ここに出展するのは、いわば保守本流を行く大ブランドとは一線を画した、ユニークなメーカーが多い。

この伝統ある時計産業に、情報化社会は、どのような表われ方をしているのだろうか?筆者はGTEを訪問し、その様子を垣間見てみた。

今どきではない携帯電話

まずここにある2枚の写真をご覧ください。

携帯一体型の時計、写真:セルシウス社
携帯一体型の時計、写真:セルシウス社

精密機械部品のギッシリ詰まった高級時計が、開閉式携帯電話機の蓋の外側に組み込まれている。近年大流行の、軽やかで薄型のスマホを見慣れた筆者の目には、この電話機はいかにも大型で重そうに見えた。そのうえ、携帯電話機の形態は、もうはやらなくなった開閉式。第一、電話機はスマホでもない。なぜだろう?

製造したセルシウス社(本社フランス)の共同設立者でCEOのアンドレ氏に話を聞いた。

「携帯電話機部分は、フランスの軍事機器メーカー、サジェム社製。軍事機器を製造する技術で作られた携帯電話だから、丈夫で長持ちする。」

「開閉式にしたのは、時計のねじを巻く力をシェルの開閉から与えるため。この技術で、セルシウス社は特許を取った。シェルを一度開閉するごとに、時計に2時間分動く力をチャージすることが出来る。」

欧州ICT社会 第十四回 写真2 06 Celsius X VI II - LeDIX Origine Open
Celsius X VI II – LeDIX Origine、電話機部分、写真:セルシウス社

「携帯電話はあえてスマホにせず、電話をかける、主要電話番号を登録するなどの、電話としての基本機能のみに絞った。時計技術には何世紀もの伝統がある。このように長続きしているのは、時計の基本技術が確立しているからだ。携帯電話も同じだ。しっかりした基本技術があれば、それは長く使われ、機械としても長い生命を保つことができる。アプリは古くなるかも知れないが、電話をかけるという基本機能は不変だ。」

「実用向けとしては重いかも知れないが、本来、この製品は機械式時計を愛好するコレクター向け。だから、重さは問題ではない。」

これはまさに、何世紀にも亘って磨き上げてきた機械式時計という、モノ作りの世界からの発想だ。セルシウス社の目に叶う携帯電話とは、何世紀にも亘って使われる時計と共に生きていくものでなければならない。携帯電話機と合体させてはいても、その電話機部分は時計産業の基本に忠実に作られているのだ。伝統ある高級時計に、情報化社会の申し子である携帯電話を合体させるという遊びの精神と、機械式時計の基本精神との見事な共生。まさに、高級時計の面目約如ではないか。

伝統とは進化し続けること

スイスの機械式高級時計のコンセプトには、時代と共に進化するということも含まれている。高級時計財団(所在地ジュネーブ)という、高級時計の産業団体のマニフェストにはこう謳う:

「高級時計」とは、知識やノウハウという「文化」そのものです。 高級時計技術は長年の伝統の産物ですが、伝統に囚われることなく、未来に向けて進化し続けなければなりません。

伝統とは、常に進化し続けることでもある、という精神に注目したい。それこそが、スイスの機械式時計が危機を乗り越えて、パームトップコンピューティングの世の中になっても愛され、生き続ける続ける一つの理由ではないだろうか。

翻って、ICT産業を考えると、どうだろう。ICTは、産業自体が、機械式時計に比べると遙かに若いので、伝統の部分はまだ弱く、未来に向かって進化する方向のみが非常に強いのは当然だろう。だから、携帯電話機に対するセルシウス社のような発想は、ICTの世界からはなかなか出にくいのもうなづける。しかし、世界の何処かには、こんな哲学のもとに、高度な技術を駆使してモノ作りを続けている産業があると知っておくことも必要ではないだろうか。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2013年3月号

掲載原稿はこちら→ 2013_あけぼの_ICT_第十四回

空港のセルフチェックインは誰のため? ー 欧州ICT社会読み説き術 (13)

空港ロビーでの戸惑い

12月の終わりのこと、日本に帰省しようと久しぶりにジュネーブ空港に行くと、出発ロビーの景色が変わっている。まっすぐチェックインカウンターに行けない。え?

カウンターはズラリと並んでいる。そこに並ぶ人々の交通整理のために、ロープが張ってある。そこまではいつもと同じ。

ところが、そのロープで作った行列に付く手前に、セルフチェックイン キオスクが10台余り並んでいる(写真)。その機械を使って、自分でボーディングパスと、荷物札を作成してからでないと、行列に付けない。航空会社スタッフが、行列ゾーンの入り口に立っていて、そうとは知らずに真っ直ぐカウンターに向かおうとする人に、注意を促している。「まず、あの機械を使ってご自分でチェックインを済ませて来て下さい。」そうか、航空会社はいよいよ本格的に、チェックインを、航空会社から乗客の手に移そうとしているな。

私は、これから乗るA航空のキオスクを使うのは初めてだったが、何とか一回で搭乗券と荷物札を出せた。

と書いたが、実は途中で一回つまづいた。パスポートを機械に入れよ、という指示が出たときである。私のパスポートは、機械読み取り式になる以前の旧式タイプだ。試しに機械に入れてみたが反応がない。当たり前だ。そういう場合どうするか、指示書きは、スクリーンを舐めるように捜しても見あたらない。不安から、ストレスレベルが急に上がる。

思い切って、パスポート番号、発行地などをキーボードから直接入力してみた。機械はそれを受け取った。やった!ストレスがストンと音を立てて落ちる。私のような乗客の心臓のために、「人手で入力も出来ますよ」と、スクリーンに一言書いておいてくれればいいのに。

こういう小さなことでつまづくのは、私がアナログ人間で、コンピュータに弱いからだろうか、と弱気になる。いや、そういう人は私一人ではないはず、と気を取り直し、チェックインカウンターに向かう。荷物を預けるために、結局はカウンターに行かなければならないのだ。以前は、私と荷物のチェックインは、同時に同じカウンターで済ませられたのに。

20キロの重量制限ぎりぎりまで詰め込んだトランクのチェックインも、無事に済んだ。やれやれと思い、キオスクを振り返ると、大勢の人が機械に張り付いている。私のように不慣れなためか、スクリーンに表示される指示を一つ一つ丁寧に読み、考え込み、ゆっくり操作を行なう人々。2-3人の人々が操作する人を取り囲んでいるキオスクが多いが、それは帰省する家族連れか。ジュネーブには、外国から働きに来た人、移住した人が何万人もいるが、その人々が一斉に動くのがクリスマス前の数日間だ。

ジュネーブ空港
ジュネーブ空港

キオスクの導入がジュネーブ空港で始まって、10年近く経つ。順番からいうと、航空券の電子化(Eチケット)化を待って初めて、セルフチェックインの普及が可能になった。Eチケット化により、乗客のID(本人確認書類)と航空券の相互チェックを、人が紙媒体を使って行なう必要が無くなったからだ。

それでも、セルフチェックインに不慣れな乗客はまだ多い。飛行機は電車と違い、毎日それに乗って通勤する乗り物ではない。だから、慣れた人よりも慣れない人の方が圧倒的に多いのは道理だ。

私は、キオスクの前でとまどう人々を見る度に、セルフサービスは誰のためなのか、とつい考える。

航空会社にとって、チェックイン業務自動化のメリットは大きいだろう。作業を効率化し、精度を上げ、かつカウンター業務を軽減できる。

乗客のメリットは?チェックイン自動化を推進する航空会社には申し訳ないが、私の限られた経験だが、際だった利は無いように思えて仕方がない。キオスクが空くのを待ち、キオスクを操作し、更に荷物を預ける場合はそのためにまた並ぶ。二人以上で、一緒に旅行する場合はなお時間がかかる。キオスクでは複数の人は一度にチェックインできないからだ。

日本の事情は?

ところが、日本では事情が少し違うようだ。帰路にチェックインした成田空港にも、キオスクはあり、それを利用している人々もいた。しかし、ジュネーブ空港と違い、キオスクの利用を強制されはしない。私は、迷わず人手でチェックインを済ませた。その方が私には便利だからだ。

その時、チェックイン カウンターに、セルフチェックイン キオスクが一台づつ備え付けられていることに気付いた(写真)。キオスク付きのカウンターを見るのは初めでだ。ここでは人手でチェックインできるのに、何故機械があるのだろう?屋上屋を重ねるようなものではないか。

成田空港
成田空港

係の人にその理由を尋ねて驚いた。このカウンターを利用する外国の航空会社の中には、乗客全員にキオスクを使って自分でチェックインをして貰うところもあるのだそうだ。つまり、人手でチェックインしようとする乗客を水際で止めるということだ。キオスク付きカウンターは、チェックインという業務を乗客の手に移そうという、その航空会社の強い意志の表われのように、私には思えた。

文化はICTとともに

セルフチェックインの時流は、日本の空の玄関にも押し寄せている。欧州でその普及が進んだ今、日本に発着する外国の航空会社が、日本の空港でも同じことを必要とするのは、自然の成り行きだろう。

一方、日本は優れた情報技術を持っているが、同時に、お客様にはきめ細かい対応をするべしという考え方が、社会の隅々にまで根付いている。それは日本の文化だ。そういう日本に、セルフチェックインという、ある意味で、お客様の手を煩わすシステムが、根付こうとしている。その変化が、国際空港という外国との接点から始まっている。

しかし、業務の機械化自体は、新しいことではない。鉄道駅の自動改札や、銀行の現金出し入れ機は、今では日本にすっかり根付いた。 今まで日本人には高級イメージのあった空の旅も、その後を追っているといえよう。文化はICTと共に変化する。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2013年2月号

掲載原稿はこちら

情報化社会の「進化の方向」 ー 欧州ICT社会読み説き術 (12)

使いやすいウェブの普及に情熱を傾ける人たち

11月8日は、世界ユーザビリティの日だった。その日、ジュネーブでは、小さいながらも熱気のこもったセミナーが開かれた。テーマは、「金融サービスのウェブ ユーザビリティ」。スイス第二の金融ビジネスの中心、ジュネーブにふさわしいテーマだ。主催はテロノ社という調査会社。小さいが、ウェブの使いやすさを評価し、ウェブを持つ公共機関や企業などにアドバイスする志の高い会社である。社長以下、社員は若い人ばかりだ。

ウェブサイトの利用しやすさ

ウェブのユーザビリティとは、ウェブサイトの利用しやすさを評価する言葉である。この言葉は、ウェブサイトの「使い勝手」や「使いやすさ」を指す概念として、近年会社、公共機関や個人のウェブサイトを制作する人々に知られるようになった。

ウェブのユーザビリティは、大まかに言って、「見やすさ、わかりやすさ、使いやすさ」の三つの側面から評価されている。

「見やすさ」には、利用者に余計な負担をかけない画面構成、色彩、文字の大きさや配置などを指す。

「わかりやすさ」とは、ウェブサイトを使う人が、「自分の捜す情報を容易に見つけられる」「自分がサイトのどこにいるか分かる」ということである。

「使いやすさ」には、見やすさ、わかりやすさと重複する点もあるが、どちらかというと、ウェブ利用者の主観的満足度に関係が深い。どの項目をとっても、その大切さはウェブ利用者としての経験からも充分に納得されると言えよう。

このような、利用者の便宜を尊重する考え方が広まっていることは、ウェブが仕事や暮らしに無くてはならない存在にまで成長した証と思えて、喜ばしい。ウェブの普及と共に、使いやすいサイトでなければ、ビジネスチャンスを失いかねないことが、サイト提供者に広く理解されてきたためでもある。

ユーザビリティに関連する概念に、アクセシビリティがある。アクセシビリティは、この連載でも、第八回(6月号)で取り上げた。ウェブサイトは、アクセスしやすく(アクセシビリティ)、かつ使い勝手が良くて(ユーザビリティ)初めて人々の役に立つと言えよう。

セミナーで興味深い報告が

今回のウェブ ユーザビリティ コンファランスでは、フランス語圏スイスの金融機関のサイトについて、興味深い調査結果が発表された。

テロノ社は、三つの主要な銀行各行の住宅ローンサイトを調査対象に、そのユーザビリティを調査した。住宅ローンのウェブサイトを選んだ理由は、それが銀行にとっては、長期間に亘る大口顧客獲得のきっかけになる、大切なサイトだからである。

まずテロノ社は、年齢30代から50代の男女9人のモニターに各銀行の当該サイト上で、次の三つの課題に取り組んで貰った;

  • ウェブサイト内で住宅ローンの計算システムを見つける
  •  実際にローンを計算する(計算に必要なデータはあらかじめテロノ社から与えられている)
  •  銀行への問い合わせ先を見つける

モニターが課題に取り組んでいる間、テロノ社は、ウェブページ上の視線の追跡(トラッキング)を行い、また、ウェブページ上で集中して視線のさまよう箇所(ヒートスポット)はどこかを特定して、サイトの使いやすさの程度と、問題点を明らかにしようと試みた。

好かれるための3条件

このような定量調査結果と、モニターからの聞き取り調査の分析から、テロノ社は、ウェブが利用者に好かれための三つの条件をあげている:①ウェブサイトにある情報が何なのか分かり易いこと、②用語が平明なこと、そして③そのサイトの目的にふさわしいデザインであること。

また、ウェブ作成者(この場合は銀行)への提言として、利用者の精神的負担を減らすことと、利用者と同じ言葉を使うことの必要性をあげた。

ウェブサイト上で何か作業を行うことは、それ自体、ある程度の緊張、つまり精神労働を要求される。その負担を減らすために、利用者の情報入力量を最低限に抑えること、また利用者が迷ったときには、ウェブ上で適切な助言を与える仕組みを作っておく必要があるというのだ。

また、用語の問題として、金融専門用語や、自社のサービス名を使わず、誰にでも分かる一般的な用語に言い直すこと、及び、言語圏の好みに合わせてサイトに修正を加える必要性をあげている。専門用語の方はどの国でも同様だが、言語圏によるウェブサイトの好みや利用習慣の違いを、サイトに反映せよと提言しているところは、いかにも多言語国のスイスらしいニーズだ。

私は、この調査がテロノ社の自主調査と知って驚いた。銀行がスポンサーについたわけではないのだ。

テロノ社に見られるように、今では、生まれたときからICT社会を呼吸してきた世代が大勢ICTビジネスを開拓している。彼・彼女らは“ディジタルネイティブ”であり、ICTはあって当たり前。その人々が、ICTという道具を、使う人に近づけようと、このようなセミナーを開くなど、自らの意志で行動を起こしている。またそれをビジネスに繋げてもいる。

そういう人々が増えるに従って、社会がウェブを見る目は変わってくるに違いない。情報化社会にあって、ウェブは無くてはならないツールだ。だからこそ、ウェブを使い慣れない人にも、ICTに苦手感を持つ人にも使いやすく、分かり易くなければいけない。

先に挙げた銀行のウェブサイトにも言えるように、私企業のウェブサイトであっても、そこには不特定多数の人の便宜を図るという、公共の使命がある。そのことは、徐々に、しかし広く理解されていくだろう。それは情報化社会の進化の方向でもある。

掲載: NTTユニオン機関誌「あけぼの」2012年12月号/2013年1月号

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