どんな人?この赤い袋を受け取るのは — スイスの男女平等賃金の日に気づいたこと

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください

*****************************

【どんな人?この赤い袋を受け取るのは】

今年(2017年)の2月24日はスイスの男女平等賃金の日でした (Equal Pay day, EPD)。これはどういう意味かというと、スイスでは男性が21月31日までの1年で稼ぐ賃金と同額の賃金を女性が稼ぐためには、翌年の2月24日まで働かなければならないということです。

ここには、男女同じお給料を払ってください!という主張が込められています。

スイスにそんなに賃金格差があるの?

============================

はい、あるんです。

これでも、今年のスイスの男女平等賃金の日は世界で一番早いのです。フランスは3月31日、アメリカは4月14日、日本はもっとずっと後です。

私もその朝、ジュネーブ国際空港で男女平等賃金の日の象徴、赤いバッグを配布しました。EPDの象徴、真っ赤な色の紙の袋です。EPDを世界中で推進する働く女性のNGO(市民団体)Business & Professional Women (BPW) の仲間たちと手分けして配りました(写真)。

16903569_747940218706301_6747712417023585761_o

2時間たらずの間に全部で500は配ったでしょうか。ということは500人が受け取って下さったということです。

どういうふうに配って、どんな方が受け取って下さったんでしょう?幾つか面白い事に気づいたので書き留めておきましょう。皆様もチラシなどを配るときに参考になるかも知れませんよ。

  • バッグを配るときにその理由を説明すること。私たちは商品のプロモーションではなく、賃金の男女平等を訴えています、と短い言葉でも説明すると、たいていの人は表情を和らげて袋を受け取ります。商品の販促か、うるさいな、と思っていたのが「ああ、女性に役立つことをしてるんだな」という理解に変わる瞬間です。そして多くの女性と男性が共感してくれました。
  • 人の好奇心に気づくこと。そのためには人の流れを見て袋に気づいて貰いやすい位置に立つこと。EPDの袋は深紅、遠くからも目立ちます。半分弱ぐらいの人はこの目立つものに「何かしら?」と好奇心を持ちます。
  • その好奇心を持った人の半分ぐらいが赤い袋を受け取ってくれます。
  • 空港到着ロビーの人々は大きな荷物を抱え、忙しい人が多い場所です。袋を差し出した時「いりません」と言った人の3分の2がこの状態でした。
  • 税関を通って到着ロビーに出てくる人の過半数がフランス語を話す人、3割ぐらいが英語を話す人、残りはドイツ語、アラビア語など色々な言葉です。これは何かを配るために大事な情報だと程なく気づきました。どちらかというと、英語を話す人たちの方が、フランス語を話す人たちよりも袋を受け取る率が高いようです。理由はわかりませんが、面白いですね。
  • 自分の予断で人を怖がってはいけない。通り過ぎる人に袋を差し出すのはちょっとした勇気のいることでした。立て続けに断られると勇気がしぼんできます。人の顔を見て受け取ってくれそうな人に袋を差しだし始めます。けれども、それは考え過ぎなのだと気がつきました。気むずかしそう、と私の目に写った人でも勇気を出して袋を差し出し、その理由を説明すると顔に笑顔と好奇心が広がるのです!ああ、声をかけて良かった!その瞬間、勇気が出ます。

img_3421

*****************************

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスはヨーロッパで執筆や取材を致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

英国が今、スイスから知りたいこととは?

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください。

*****************************

【英国大使がなぜ今ジュネーブに?】

スイスの英国大使が近々ジュネーブで商工会議所のメンバーと昼食会を催すという。スイスはEU非加盟、英国ももうじきそうなる。「スイスさん、EUなしで景気よくやるコツを教えて下さい」とでも?私が英国ならその点を調べ上げる。

“Global Britain” – Working with Switzerland and Liechtenstein to make the most of new economic opportunities and address the challenges of a fast-changing world.

*****************************

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスはヨーロッパで執筆や取材を致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

イノベーションを産み出す仕組み、スイスの産学協働

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください。

*****************************

【あの小さいスイスがイノベーション大国?なぜ?】

スイスの国土は九州ぐらいのミニサイズ、人口も日本の16%しかない。なのに世界一のイノベーション大国。WIPOの毎年発行する「イノベーション・イノベーションインデックス」で、2010年以来ずっと一位です。

私はイノベーションの産まれる理由にとても興味があります。イノベーションは発想がカギです。科学技術だけでなく日々の暮らしにも仕事にも新鮮な視点は色々な場所で役に立つことは、皆さんもご経験しておられることと思います。

そんなわけで、私の住むスイスがなぜイノベーション世界一が6年も続くのか、どういう背景があるのか、とても興味をもって取材しています。ご一緒にスイスのイノベーション誕生の場所を訪ねませんか?

”イノベーションのメッカ、EPFLに見る産学協働” (記事の全文は、ページ右上「ダウンロード」をクリックすると読めます。)

http://www.s-ge.com/japan/invest/ja/blog/日本企業からみたepflの産学協同

===================

東京のスイス大使館に「スイス・グローバル・エンタプライズ」という組織があります。主な仕事は日本からスイスへの企業進出を奨励することです。

この記事はそのウェブサイトに掲載されました。

img_epfl-innovation-park
イノベーションのメッカ、ローザンヌ連邦工科大学(EPFL) 構内にあるイノベーションパーク。セキュラブ社もここに研究部門を置いています。(写真:EPFLウェブサイトから)

 

********************************

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスはヨーロッパで執筆や取材を致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

日本がボクを苦しみの底から立ち上がらせたースイスのある青年 (2)

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください。

********************************

【あなたは自分の言葉で自分の考えを語っていますか?】

「マンガが大好き」という自分に気がついた時、どん底の苦しみから立ち上がる力を得たスイスの青年ラユンさん。彼と一問一答しました。テーマは日本。

日本のサブカルチャーが面白い、でも本音と建て前のあるところが嫌い。

ではその日本人の心の壁をラユンさんはどうやって乗り越えているんでしょう?

========

thumb_img_3071_1024
思い思いの仮装が楽しそう!日本マンガナイト

栗崎 日本の面白さは何ですか?

ラユンさん サブカルチャーの多様なところです。都会と田舎、京都と秋葉原、伝統もポップカルチャーもあります。そういう対比が面白いと思います。

栗崎 では、日本の嫌いなところは何でしょう?

ラユンさん 一つは、本音と建て前があることです。それは日本人の自己防衛なんでしょうけれど。僕は日本語を話すから日本人の内心がわかります。

僕は、建前の答えを貰うのでなく、人と本音で話したいと思うので、会話の中で、「あなたはどう考えますか?」という問いかけを始めた。僕に自分の言葉で、自分の考えを語って欲しいと思って。

僕は日本人じゃないから、僕に何を言ってもそれを誰かに喋る危険がありません。そうやって、自分がイニシアチブをとって、信頼関係を育てて行きたいと思います。

二つめは、サービス業の人達が、まるでお客様の奴隷に見えてしまうところです。両者の立場が対等ではないのです。そういう精神は、スイス人には理解が難しいことです。

========

ラユンさんは日本をよく見ている。

あなたは自分の言葉で自分の考えを語っていますか?

 

thumb_img_3063_1024
日本マンガナイトにはスイス中から若者が集まる。この仮装も楽しみのうち!

********************************

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスはヨーロッパで執筆や取材を致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

 

 

日本がボクを苦しみの底から立ち上がらせたースイスのある青年 (1)

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください。

********************************

【あなたの「大好き」は何ですか?】

「自分はこれが大好き!」という生き方を通じて苦しみの底から立ち上がった青年がいます。

スイスの若者ラユンさんにとって、その「大好き」は日本のマンガやアニメでしたーーと、それだけなら驚くことはないかも知れません。けれども、ここまでどん底もそこからの這い上がり方も徹底している人は少ないと思います。

あなたの「大好き」は何ですか?

========

「オタク?興味ない。自分はそういう人とは友達になれそうもないから。」

私はそう思っていた。

ラユン・ヒューリマンさんに会って、私は自分のモノの見方が狭かったと知った。(写真ラユンさん)

%e5%86%99%e7%9c%9f%ef%bc%93%e3%80%80%e3%83%a9%e3%83%a6%e3%83%b3%e3%81%95%e3%82%93
ラユンさん(写真提供も)

ラユンさんは、チューリヒの公共交通局で働く、25歳の若者だ。

ラユンさんは、「日本は自分の人生を変えた」という。

彼のフェースブックの自己紹介は彼が日本語で書いたものだ。

「オタク文化の喜びを共有する事に情熱を注ぎ、ファンに日本文化を促進するために、イベント組織と共に活動しています。」

ラユンさんは、スイスのどこにでもいそうな好青年だ。日本で言うオタクという言葉にまつわる、漫画や昆虫など、何か一つのことに夢中になるあまり、引っ込み思案な性格とか、ちょっと変わっているというイメージは、彼にはない。

その彼が、自分はオタク、という。

え?なぜオタク?そもそも、なぜ日本に関心が向いたの?

私は、興味のかたまりになった。

%e3%83%a9%e3%83%a6%e3%83%b3%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%ae%e4%bd%8f%e3%81%be%e3%81%84
ラユンさんの住まい(写真提供 ラユンさん)

アニメから日本を知った。

ラユンさんが日本のアニメにのめり込んだのは、学校でいじめに遭い、苦しみ抜いた10代の終わりだった。

ラユンさんは性格の優しい人だ。スイスでは男の子は強い態度を見せないと、いじめに遭うという。彼は、いじめに耐えきれず16歳で学校を自主退学し、その後、進路を変えて職業学校に入学した。

しかし、そこでも再びいじめに遭うようになり、再び自主退学を余儀なくされた。17歳の時である。

二度の退学に、ラユンさんはすっかり自分に自信をなくした。毎日死にたいと思ったという。

遂に彼はあるクリニックに入院した。

やっと回復し始めた頃、彼は社会復帰を支援するプログラムに参加した。そこで出会った女の子が日本のアニメのファンだったことから、ラユンさんも子供の頃好きだったアニメを思い出し、再びのめり込んだ。

「どうして僕は、アニメを止めたんだ?」と思ったという。

スイスでは、ドイツのウェブサイトから、アニメを好きなだけ見ることができた(ラユンさんは、スイスのドイツ語圏の人だ)。そうして、アニメを通して日本に興味を持つようになり、日本についてもっと知りたくなった。

自分の大好きなものを見つけたラユンさんは、18歳になった時ハラが据わった。「自分の人生を創ろう、いじめに負けない自分になるぞ」と決心した。

彼は社会復帰を試みて、仕事探しを始める。二度の退学と入院歴のある若者に仕事はなかなか見つからなかった。180通の履歴書を送ったという。その中で、ただ一つ、スイス国鉄だけが、見習い社員として3年間働くオファーをくれた。(註:ここでいう「見習い社員」とは、スイス独特の教育制度の一部。職業学校に通いながら、週の大半は職場で働き、必要な技能を身につける。)

ハラを括った彼は、猛然と外国語の勉強を始めた。日本語、英語、フランス語を一度に学んだという。同時に、憧れの日本に行くお金を貯めた。

挫折を乗り越えてフクシマと出会った。

ようやくお金を貯めて日本行きの航空券を買った2011年、思わぬ災難に見舞われる。出発日は、東日本大震災の二週間後だったのだ。フライトはキャンセルとなり、初めての日本行きの夢は潰えた。ラユンさんはこれ以上ないほど、がっかりしたという。

けれども、彼はくじけなかった。そういう自分をなんとかしようと思った。そして、つらさに真正面から向き合った。

丁度、職業学校の卒業研究のテーマを選ぶ時期に来ていた。ラユンさんは、「フクシマの復興」をテーマに選んだ。学校の性格上、本来なら経済や産業に関するテーマでなければならなかった。けれども先生に相談すると、やってみなさいと励まされた。

ラユンさんは、英語と日本語で資料を集め、研究レポートを書いた。それは最優秀作品に選ばれた。

「小学生時代、ゲームばかりしてちっとも勉強しなかった僕ですが、優秀な成績でその職業学校を卒業しました。」と彼は言う。

更に自信を得たラユンさんは、「自分はもっとできる。」と思った。そうして、再び日本行きを志した。

2011年12月、ラユンさんは、遂に日本行きを果たす。真っ先に訪れたのは仙台、そして福島だった。その計画に両親は大反対したが、自分はあなた(福島の被災した人々)のことを考えているということを、行動で示したかったという。

福島では、原発被害による立ち入り禁止区域から2キロの場所まで行ってみた。涙が止まらなくて、2時間だけそこにいて東京に戻った。

彼は今でも日本に行くと必ずお見舞いの品を持って福島の被災地を訪れ人々を励ましている。

%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e3%81%ae%e3%83%a9%e3%83%a6%e3%83%b3%e3%81%95%e3%82%93
福島の被災地を訪れたラユンさん(写真提供 ラユンさん)

ラユンさんにとってのオタクとは

ラユンさんは、アニメをきっかけに、オタクを知った。学生時代にスイスの“漫画フォーラム“で知り合ったアニメ好きの友人が、「オタク」といわれる人々のいることを教えてくれたのだ。

ラユンさんにとってオタクとは、「自分が情熱を傾ける“何か”に対し誇りを持つ人々」と映った。彼はそこに、アニメを好きになることで本来の自分にコネクトし、立ち直った自分と同じものを感じた。

そんなラユンさんだから、初の日本旅行では、仙台、福島の後に東京コミックマーケット(コミケ)を訪問した。(註:東京コミックマーケットは、世界最大の同人誌即売会。例年8月と12月に開催される。漫画、アニメ、ゲームを始め、現代日本の様々なポップカルチャーが一堂に集う場となっている。ウィキペディアより抜粋。https://ja.wikipedia.org/wiki/コミックマーケット

以来、彼は何度も日本を訪問し、オタクの同好の士と友人になり、コミケの常連となった。日本に行くたびにアニメに題材をとったポスターや、タオル、枕など色々な“グッズ”を買い、自分の部屋をアニメだらけにした。それを写真に撮ってウェブサイトに載せたら、いつの間にか「スイスのオタク」として、日本のオタクの間で有名になっていた。

%e3%83%a9%e3%83%a6%e3%83%b3%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%ac%e3%82%af%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3
ラユンさんのコレクション(写真提供 ラユンさん)

ラユンさんはオタクをどう考えているか、ここで彼の言葉を引用しよう。

「僕はオタク人生を楽しんでいます。オタクとは、自分の大好きなことを持っている人のことです。僕は日本のアニメのイラストが好き。そこにイラストレータのパッションを感じます。技術もアートセンスも素晴らしい!」

「僕は、日本で『スイスのオタク』、『美少女ゲームをするスイス人』として有名になり、オタクたちのチャットにも登場するようになった。

やがて彼らは、僕を日本のオタクと比べるようになりました。

けれども、そういうことは、僕は嫌いです。それは、他人を自分の価値で判断することだからです。

僕はレッテルを貼られるのはいやです。

自分の好きなことを好きでいるのは、何も悪くない。そのままの自分でれば良いんです(Be yourself)。そう思ったとき、『よし、僕は日本のオタク文化を変えよう。』と決心しました。」

僕のしたいこと

そんなラユンさんだが、日本社会でオタクは必ずしも良く思われていないことを知っている。偏見にも気づいている。

彼自身、日本のオタクは自分の良いと思うことをやり過ぎる、と感じることがある。キモイ格好で秋葉原を練り歩くなど、これはどうかという行動をとるオタクもいる。彼、彼女たちは他のオタクや一般の人々の注意を惹きたいのだろうが、それもまた、他の人に自分の価値を押しつけていることになっていないかと思う。

だが、ラユンさんは、時にはそういう奇異な行動をとるオタクの内心もまた感じ取っている。日本のオタクは、人を、社会を、現実の女の子たちを恐がっているんじゃないだろうか、と。彼らは孤独なのだ。

ラユンさんは、それを変えたい。彼らが、自分の値打ちを自分で受け入れ、認められるようになるようになって欲しいと思う。

再びラユンさんの言葉を借りよう。

「僕はオタクである喜び、つまり、何か大好きなことがあるという生き方を通じて、日本の人達を力づけたいと思います。自分の価値を自分で認められるようになって欲しい。小さくなる必要は無いと気づいて欲しいのです。」

ラユンさんは、その気持ちをすぐに行動に移した。彼はツイッターなどSNSで毎日自分を語っている。彼は「自分はこうだ、こう思う」と語るが、他の人に自分のようにしなさいとは言わない。

ラユンさんは、自分は新しいオタクのモデル(ありかた)だと思っている。ツイッターで「スイス大使ラユン」と自分を名乗るのはそのためだ。

ラユンさんにとり、日本人は、オタクを通じて、なにか大好きなことを持っていることの喜びを教えてくれた人達だった。彼はその喜びを他の人達にも分かって欲しいと思う。その為に、日々行動している。人や社会に文句を言うだけでは物事は変わらない。行動すること、自分に出来ることだけで良いからーー彼はそう考える。

 「自分の夢を大事にして、自分の歩いてきた道を大事にして、諦めないでください。」というメッセージで、ラユンさんは話しを結んだ。

********************************

関連したテーマのブログ→

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは執筆や取材を致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

欧州で自分の考える正しさを語るとは?ースイス国鉄での経験から学んだこと

あなたの外国とのコミュニケーションのズレを直し、価値に変えるヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスのホームページにようこそ。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは何をする?–> こちらをご覧ください。

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスとは誰?–> こちらをご覧ください。

********************************

【英語の勉強をしてるけれど話せない、と悩む方へ】
自分の考えを相手に説明すること、小さな疑問でも聞いてみることを習慣にすると、あなたは飛躍的に外国語で話ができるようになります。ではそれはどういうこと?ーーそれは例えばこんな風に日常生活の場面に表れるんです。

========

スイス国鉄に手紙を書いて投函したのは月曜日。

金曜日には返事と共にこんなカードが届いた(写真)。32フランの金券だ(約3200円)。

img_3395

ああ、この労力が無駄になってもいいからとハラを決めて手紙を書いて良かった、と思った。

そして、これがヨーロッパなんだ、とも。

なぜこのカードが送られることになったんでしょう?こんなわけがあるのだ。

ある日のこと、私は夕方始まる会合のためにチューリヒに行った。チューリヒまでジュネーブからは乗り換え無しの列車で3時間弱の距離だ。

ところが会合の帰り道、最終の直行列車に乗り遅れた。

仕方ない、時間は長くかかるが、一本後のベルンで乗り換える列車に乗ればいい。ジュネーブに着く頃には、まだ帰宅するためのトラムは走っている。私は大して心配もしなかった。

ところが、その日に限って私の乗ったチューリヒ発ベルン行きの列車はベルンの手前で止まってしまった。スイスの冬の午後10時過ぎは真っ暗だ。その暗闇の中、どこにいるかもわからない。その間20分間ぐらいだった。

その20分間のおかげで、私はジュネーブに行く接続の列車に乗れなかった。

原因はわからない。車内アナウンスがガランとした車内に流れたが、ドイツ語だけだったので私にはわからなかった。スイス国鉄には珍しいことっだ。この国の列車では、たいてい仏独英語の三カ国語で放送があるのに。

私は、近くの乗客に「今なんて言ったんですか?」と尋ねるようと思ったが止めた。乗るはずだったジュネーブ行きに乗れないことは明らかだ。列車も動き始めた。今更理由がわかたっところで、私の助けにはならないと思ったのだ。

ベルン駅で待つこと30分、午後10時半を過ぎた駅はがらんとしていて寒かった。ジュネーブ方向に向かう列車に乗ったのは11時過ぎ。今度はちゃんと帰れると思うとホッとしたが、さすがに疲れもした。その列車は途中のローザンヌまでで終点になる。私はそこでもう一度乗り換えてジュネーブに行かなければならないからだ。

でもまあいいか、家には帰れる。

スマホで時刻表を調べると、私の家に向かうトラムの最終には間に合わないことがわかった。駅からタクシーを使わなければならない。

でもまあいいか、ジュネーブ駅前にはタクシーが待っている。

しかしジュネーブのタクシー代は世界一高い(と私は思う)。なぜ私はタクシー代を払わなければいけないのか?こうなったのはチューリヒ発ベルン行きの列車が遅れたからだ。そう思うと、これはスイス国鉄にタクシー代を賠償して貰わなければならないと思えた。

そこに車掌が検札に来た。

彼に事情を話し。誰宛に手紙を書けばいいか尋ねると、スイス国鉄はタクシー代を賠償しないという。

「それはいいから、私はスイス国鉄にこの件で手紙を書きたいんです。誰に宛てて書けばいいですか?」もうその時には私もカッカしていたから迫力があったんじゃないだろうか?

車掌は、カスタマーサービス(顧客係)の住所を書いた名刺大のカードをくれた。

私はジュネーブからタクシーに乗った。最終のトラムはとっくに出た後だった。タクシー代は32フラン(約3200円)。領収証を貰っておいた。

実際私は迷った。手紙を書くだけ無駄じゃないだろうかと。車掌に「賠償しません」と言われていたからだ。

けれども、やっぱりハラが納まらない。自分がスッキリするために事情を説明する手紙を書き、「、、、という理由ですから私はスイス国鉄にタクシー代32フラン分を請求いたします。同封の領収証を御参照してください。」と結んだ。

それが、意外や意外、4日後には冒頭のカードが私に送られてきたというわけだ。

それだけではない。スイス国鉄からの手紙には、タクシー代を弁償するだけでなく、「列車が遅れホテルに泊まらざるを得なくなった場合には、ホテル代も弁償します」と書いてあった。

他の国だったらどうなるんだろう、こういう場合?

スイスの人は真正直だなあと思うのはこういうときだ。私はタクシー代の件で手紙を書いたのだ。その返事に、ホテル代のことまで教えてくれるとは。黙っていても良さそうなものなのに。

あの深夜の列車で車掌に手紙を書いても無駄だよと言われても、諦めなくて良かった。理を分けて話せばわかる人達がいるんだと思った。

人は皆、それぞれなりの正しさを持っている。10人の人がいれば10通りの正しさがある。

あの車掌の言ったことも彼なりの正しさだったんだろうと思う。

そして、私には私なりの正しさがあった。

私は、自分なりの正しさをスイス国鉄に説明した。スイス国鉄には賠償のルールがあるのだろうが、それを掘り当てたのは私が手紙を書いたからだ。

うーーん、これがヨーロッパなんだと思うのだ。自分なりの正しさを主張できるところ。結果はともかく、言ってみることができるところ。

今でこそ私はこんな知った風なことを書いているけれど、この文化に慣れるまで20年かかった。今でも、欧州人の友人たちを見ていて、「そこまで言ってみるの?」と思うことがままある。そういう私はヨーロッパでは主張の少ない人、温和しい人なんだろうと思う。

それでもいい。納得できないことがあったら、「私はこういう理由で、こう思います」と言えるところ、むしろ互いにそう言い合って成り立っている社会。それが言い争いではなく、淡々と互いに自分の考えることを語り合える社会。それがヨーロッパだと思う。もちろん、そこには良いところも不便なところもあるが、このカードが封筒から出てきたときは、「言って良かった」と思ったのだった。

********************************

関連したテーマのブログ→

ヨーロッパ・ジャパン ダイナミクスは世界に通用するあなたのコミュニケーション力を伸ばすサポートを致します。–> こちらをご覧ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。