パケットとブロードバンドが通信とメディアにビジネスモデル変革を迫る

インターネットの生みの親、ヴィント・サーフ (Vint Cerf) が、エコノミスト誌とのインタビューで凄いことを言っていました。ざっと要約するとこういうことです:

  • インターネットの基本技術がパケット通信であることには、今も変わりがない。
  • ブロードバンドネットワークのスピードが急速に上昇し、今では、動画(ビデオ)を送る場合、人が動画を無瑠のに必要な速度よりも高速で送れるようになった。
  • 本、イメージ、ビデオなど、多種の情報をディジタル化し、パケットにして通信することができる。
  • パケットは情報内容を認識しない。ひたすらせっせとブロードバンドの中を走り続けるだけ。
  • ということは、将来、コミュニケーションはファイルトランスファーになるということだ。
ヴィント・サーフ氏

それはつまり、従来の通信、メディア、コンテンツ産業のビジネスモデルが崩れると言うことです。例えば、通信ですと、今まで回線を保留して使っていた時間に応じて料金を払っていたものが、高速ネットワークを使うようになると、回線を使う時間が非常に短くなってしまう。ですから、時間に応じて料金を払う仕組みは変わらざるを得ません。

コンテンツ、つまり、データの量に応じて課金するという方法もありますが、ビジネスとしては、それでは成り立たないでしょうね。ビデオのような情報量のおおきいコンテンツの場合、利用者は、大変高額な通信料金を払ってビデオを見なければならなくなるわけですから。お客は他のメディアに流れて行ってしまいます。

また、メディア、コンテンツ産業にとっても、大きな変革の必要が迫っているということを意味します。本、新聞、テレビなどの読者、視聴者は減少傾向を辿るでしょう。新聞を買わなくても、テレビを見なくても、同じ情報を手に入れるために、ウェブ、スマートフォン、iPadなど、他にもいろいろなメディアがあるのです。

折しも、メディア王として知られる、ルパート・マードックの率いるニューズ・コーポレーション社(英国)が、iPad専用の新聞を近々発行するというニュースが出ました。ザ・デイリー (The Daily)と呼ばれるその新聞は、有料です

The Daily will look like this.

これは偶然ではありません。私には、ニューズ・コーポレーション社の、多様なディジタルメディアの時代に合わせて自らを変えていこうとするチャレンジと思えます。言い換えると、ニュースというコンテンツを持つ産業の、メディア変化の時代に生き残っていくための一つの壮大な実験なのです。

従来のビジネスモデル変革を迫られる、通信、メディア、コンテンツ産業は、この大きな変化に対してどう動いていくのか、また、時代の変化に利を得て、どんな斬新なニッチプレイヤーが続々と登場してくるのでしょうか。

2011年は、通信とメディア産業から目が離せません。

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投稿者: Yoshiko KURISAKI (栗崎由子)

I am Yoshiko Kurisaki, Japanese, executive consultant specializing in cross-cultural management between Europe and Japan. Being based in Geneva, I travel between Europe and Japan. Culture may be a stop factor in business. That said, if you go beyond that, culture is a vaIuable source of inspirations and innovation. I help European businesses to turn cultural barriers to innovation.   栗崎由子(くりさき よしこ)、ダイバーシティ マネジメント コンサルタント。二十余年間欧州の国際ビジネスのまっただ中で仕事をしてきました。その経験を生かし、日欧企業むけにビジネスにひそむ異文化間コミュニケーションギャップを解消し、国籍、文化、性別など人々の違いを資源に変えることのできるマインドセットを育てるための研修やコンサルティングを行なっています。文化の違いは”面倒なこと”ではなく新しい価値を生み出す源泉です。日本人の良さを国際ビジネスに生かしながら、違いを資源に変えて価値を創造しましょう。ジュネーブ在住で、日本とスイスを往復しています。

“パケットとブロードバンドが通信とメディアにビジネスモデル変革を迫る” への 2 件のフィードバック

  1. くりさきさん
    本年もよろしくお願いいたします。。。

    News Corpは、衛星放送Skyの子会社化チャレンジも含め、幅広い大衆メディアに布石を打っていますね。彼らにとってはメディアはall in oneに見えている一方、メディアの多様化により、マスメディアとしての限界も以前より見えてきていて、変容を迫られているような感を受けています。

    一方で通信ですが、従量制、従時間制モデルから定額制モデルへのシフトは、既にほぼ定着してきているかと思います。やはり、ブロードバンドの普及、広帯域の確保容易化による部分が大きいでしょうか。松下幸之助の「水道哲学」ではないですが、「ひねればパケットが流れてくる」そういう時代に、通信キャリアとしてどういう新たなプラスアルファのチャレンジをしていくかが、各社共通の課題のように見えます。

    「形だけじゃなくて中身が大事」「今だけじゃなくて未来へのインパクト・夢が大事」他の産業での隆盛をみるにつけ、メディア・通信も、これら「」のトレンドにどう対応していくか、試されてきているフェーズのように感じています。

    1. 岩田様、

      洞察に満ちたコメントをありがとうございます。

      全く同感です。とくに、岩田さんのおっしゃる、 は今年いっそう人を引きつける要素ではないでしょうか。誰もが、玉手箱のようなスマートフォンを持てる時代です。「楽しいこと」がキーワードの一つになりそうに思います。単に機械を新しがるというよりも、使って楽しむ、うれしがる、というような。

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